ポスドクや学生などの若手研究者は引っ越しが多い。任期付き職を転々とするからである。私も現在引っ越しのための片付けをおこなっており、捨てる本の選別が大変過ぎたので、本が多い研究者のための本の捨て方をまとめてみた。ちなみに私は経済学の実証が専門である。
なお、本を置く場所のために家を借りたりできる方を対象にはしていない。あくまでも、エレベータのないアパートからエレベータのないアパートへ引っ越しをし、ひ弱な体に鞭を打って本を自力で運ばないとならない研究者ための本の捨て方講座である。
本の種類は大きく二種類に分けることができる。
・研究のための本(学術書、一般書、技術本など)
・趣味の本(一般書、小説、漫画など)
まず、仕事に必要な研究のための本の選別方法を述べる。研究のための本といっても、使用度や必要度、研究への関連度など様々である。そこで研究のための本の種類をいくつかに分けて捨てるべきか否かを述べる。
・現在の研究に使用し、何度も見ている本 ⇒ 捨てない
・過去の研究に使用し、何度も見ていた本 ⇒ 捨てない
・研究分野の基礎文献(経済学ならば、大学院のコアコースで用いたミクロマクロ本+その関連本)
⇒たびたび見返しているなら捨てない。
⇒大学院のコアコースで学んだきり開いていないなら捨てる。必要になったらまた買おう。特に洋書は重く、あなたの腰が壊れた場合の治療費の方が高くつく。有名な教科書とされるものは、追加修正されて新しいバージョンが出ている(今後出る)可能性も高いので、新しいものを買った方がよい。今年中に授業準備などで使用する可能性の高そうなものは厳選して数冊残しておく。
・研究の見識が広まりそうだと思って購入した本
⇒ 一度読んだ本で、今後も講義や研究等で引用できそうで有用なものは捨てない。
⇒ 購入から3年以上の未読本は捨てる。あなたはこの本を今年も来年も読まない。
・統計ソフト(STATA, R, Python)やプログラミングなどの解説書
⇒現在使用しているものは捨てない。
⇒新しい統計ソフトやプログラミングを勉強したいなと思って購入したが未読なものは捨てる。統計ソフトは日々アップデートされ、機能も変化している。必要なときに最新版を買うべき。
続いて、趣味の本の捨て方について述べる。
・小説
著名作者の著名作品 ⇒ 未読本でも既読本でも捨てる。いつでもどこでも手に入るからである。ドストエフスキーや宮部みゆきはどこへもいかない。
(*海外小説・詩集の訳書は、翻訳者が変わると作品の雰囲気がかなり変わってしまい、新訳がでると旧訳は手に入りづらくなる。翻訳されてるお気に入りの海外小説・詩集は有名作品でも残しておこう)
面白くなかった本 ⇒ 捨てる。
そこそこ面白かった本 ⇒ 捨てる。そこそこの本を見返すことはない。
とても面白かった本 ⇒ 有名作品は捨てる。有名でない場合は残しておく。有名作品以外の本は意外とすぐに買えなくなる。
有名作品だが大好きでたまらなくて捨てたら泣いちゃう本 ⇒ 残す。しょうがないね。泣いちゃうからね。
未読本 ⇒ 有名作品は捨てる。あとは、改めてタイトルと表紙・あらすじを見て、すぐに読みたいと思わないのも捨てる。それ以外は残す。
・漫画
既読本 ⇒ 有名作品は捨てる。たびたび読み返す大好きなものは残す。漫画は場所をとるので心を鬼にして捨てよう。
未読本 ⇒ 捨てる。すぐに読めるのに未読にしている漫画を、あなたは今後も読まない。
・写真集や画集
写真集や画集は大きく重いが、改めてひらくとどれもこれも素敵なので捨てづらい。しかし、あなたが写真集・画集集めを趣味としていない限りは、5冊くらいに減らそう。とにかく重い。腰をいわすぞ。
・趣味の一般書
既読本⇒面白くない・そこそこの面白さのものは捨てる。読み返すことがないからである。
未読本⇒有名なものは捨てる。買ってから2年以上読んでないものは捨てろ。自分で運ぶんだぞ。
私はワンルームの部屋だが、いらない本選別・捨てるのですら2週間で終わらなかった。ゴミ捨て場に本を置きに何度も階段を往復することで筋肉痛になり何度も寝込んだ。
本をたくさん捨てることで寂しさを覚えるかもしれないが、あなたは今月も来月も、再来月も新しい本を買う。これは断言できる。寂しくなったら新しい本や積読本を読んで気をまぎらわそう。今後も世界中で魅力的な本がたくさん出てくる。それを迎えるための空間を空けたのだと自分を慰めよう。
皆さん、いつか収入を上げて安定した職を得て、本を無理やり捨てなくて済むように頑張ろう。
*この文章は2月に本の整理をしている途中に現実逃避で書いたものである。何を捨てるか残すかは自己責任でお願いします。
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